皇居前の交差点で衝突事故、10人搬送 車

7日午前9時45分ごろ、東京都千代田区丸の内2丁目の国道1号(日比谷通り)の和田倉門交差点で、タクシーとワゴン車が衝突し、それぞれに乗っていた男女10人が首などの痛みを訴えて病院に運ばれた. 警視庁が詳しい事故原因を調べている. 丸の内署によると、現場は皇居の大手門から南東に約300メートルの交差点. 東京駅方面から西に直進していたタクシーが、皇居方面から南へ右折しようとしたワゴン車の左側面に衝突したとみられるという. ワゴン車が道路上に横転して、道路をふさいだため、国道1号を中心に周辺が大渋滞となり、警察官が他の道路に迂回(うかい)するよう呼びかけた. 年の初めに今年の抱負を考えたり、目標を立てたりした方も多いだろう. 当方ことさら抱負もないが、なにか新たに心に刻む言葉はないかしらと引き出しをあさったら、一枚の切り抜きが出てきた▼漢字学の大家、白川静(しずか)さんが10年前の週刊誌に寄せた短い文章である. 「私のごひいき」を三つ挙げる趣向の欄で、碩学(せきがく)は「狂(きょう)」「癡(ち)」「愚(ぐ)」の3文字を選んでいる. 癡は痴の旧字. いずれも穏やかな字面ではない. なぜこれがごひいきなのか▼狂は気がくるうことではない. 好むところに溺れること、憑(つ)きものがおちないことをいう. 例えば風雅に徹する人のことを風狂の徒という. それは〈世間の埒外(らちがい)に逸出しようとする志をもつもの〉であり、狂とは〈最大の讃辞(さんじ)〉だったという▼痴の字が痴漢という忌まわしい語にもっぱら使われていることを白川さんは嘆く. 本来はうつつをぬかすという意味だそうだ. ただ、狂ほどは激しくない. 控えめな狂. 昔の文人墨客には書痴(しょち)などと称し、みずからを誇るものがあった▼愚の字の上の部分は、頭部の大きい爬虫類(はちゅうるい)のかたちらしい. 姿はいかめしいが動きの鈍いもの、機略に乏しいものをいう. 狡知(こうち)ある人からみると温和な人は往々、利口とみえない. 大賢は愚なるがごとし. 愚も〈甚だ高次の徳性を意味する語である〉▼三つの文字は〈人間の至境〉を示す. とても凡夫の及ぶところではない. それでも頭の隅に置いておくことくらいは許されるだろう. 書き初めにはどうかとも思うが.